石岡のおまつりのひょっとこの踊りの意味とお面
石岡囃子の演目には「仁羽(にんば)」通称「ひょっとこ」とよばれる踊りがあります。一番演奏機会も多く、よく目にする演目ですので、一度は目にしたことがあると思います。
実は、とても深い意味のある踊りですので、その意味やお面の種類について解説いたします。
目次
仁羽の踊りの意味
石岡囃子の仁羽の踊りについては、諸説ありますが現在一般的に言われているのは、その昔「夜這い」という風習があった時代に、夜な夜な夜這いをするスケベな男の姿を踊りで表現したと言われています。
歩く動作や、右を見て、左を見て女性を探す仕草、襖を開ける動作や、品物を差し出す仕草などが表現されていると言われています。
また「頭」とよばれる独特の頭の動きも特徴的です。
どこか、可愛らしさの中にすっとぼけた間抜けな表情がありまさしくスケベオヤジという感じがしてきませんか。
仁羽の踊りの「三村囃子」と「染谷囃子」の違い
石岡囃子の二大流派の三村囃子と染谷囃子では、仁羽の踊り方に違いがあります。
三村囃子の仁羽踊り
三村囃子は、三村地区で伝承されてきたお囃子で、その昔は霞ヶ浦に船を浮かべてその上で演じられてきたと言われています。そのため踊りもあまり派手に動かずに、手を中心に使った優雅な踊りの雰囲気があります。
とくに大きな違いとしては、仁羽の場合は、膝がほとんど上がることがない点です。膝を上げて踊ってしまうと船のバランスが崩れてしまうからでしょうか。あまり足を動かさずに、手の動きや扇子をつかって踊るのが特徴です。
染谷囃子の仁羽踊り
染谷囃子は、染谷地区で伝承されてきたお囃子でかつては、神社の境内でお囃子が演じられておりました。太鼓のリズムが三村囃子に比べると、ゆっくりで踊りも大胆な振り付けです。
仁羽の踊りも、三村囃子の滑稽さに比べると、迫力やかっこよさがあるのが特徴です。
石岡囃子「仁羽」の祭面
仁羽は、四丁目(おかめ)や、新馬鹿(きつね)と比べて、山車の上で一番演じられる時間の長い演目です。その分、お面もたくさんの種類があり、お面によって踊り手は、踊りを分けています。
火男(ひょっとこ)
一般的に「ひょっとこ」と全国的に呼ばれているお面です。とぼけた男性が、かまどの火を吹いている様子をお面にしたと言われています。踊りとしては、オーソドックスな仁羽の踊りに使われます。
ベロ出し
大きくベロを出した表情をしたお面です。ベロを出して、笑っている表情がとてもユーモラスで面白く一般的な仁羽の踊りに用いられます。
一文字
一文字は、口を横一文字にした表情をしたお面です。火男や、ベロ出しと比べる少し、無表情で怒っているようにも見えます。お囃子の中では、火男やベロ出しとは踊り分けがされていることが多く、握りこぶしを作った状態で踊られたり、少し固い雰囲気の踊りがされることが多いお面です。
うそぶき
一見、火男にも見えるお面ですが、狂言で使われる「うそぶき」というお面が原型になっているお面です。狂言では「蚊相撲」の蚊の精、「(うりぬすっと)の案山子(かかし)、「蛸(たこ)」の蛸の霊など、異形のさまざまな役柄に用いられています。
火男の原型にもなったとも言われており、ユーモラスの中に少し怖さもあるお面です。